こんにちは。
久しぶりの投稿です。
昨年、口腔内スキャナーを導入したのにまだ紹介していなかったため、今日は口腔内スキャナーで型取りをしてジルコニアインレーで治した症例を紹介します。
今回の部位とは別の部位の治療を他院で受けていましたが、痛みが治らないとのことで当院へ来院された患者さんです。
<患者さん>
30代、女性
<主訴>
つめ物が欠けた。
<治療内容>
右下第一大臼歯をジルコニアインレーにて治療。
むし歯を取り除き、型取りの準備をします。
削った歯の形の境界線をはっきり見えるようにするために、歯と歯ぐきの間に糸を押し込みます(歯肉圧排)。
この操作はシリコン印象材を使った型取りでも行います。
歯肉圧排をした後、口腔内スキャナーで口腔内をスキャンします。
削った歯とその周り、かみ合う歯のスキャンをして、その後、上下のかみ合わせをスキャンしていきます。
<治療期間>
約2週間
<メリット>
ジルコニアは天然の歯に近い見た目を再現できる。
ジルコニアはプラークが付きにくいため、歯ブラシできれいにみがきやすい。
ジルコニアは劣化しにくい材料のため、何年たってもほとんど変色しない。
ジルコニアはプレスセラミックスより強度が高く、割れにくい。
<デメリット>
ジルコニアは自費診療のため、費用が高くなる。
プレスセラミックスと比べると透明性がなく、白っぽくなる。
プレスセラミックスと比べると適合が少し悪い。
<費用>
約77,000円
ジルコニアインレー(スタンダード)
<今回の治療での要点>
当院では通常は保険外の治療の際にはシリコン印象材という材料を使って型取りをします。
シリコン印象材は精密に型を取ることができるのですが、硬化するまでに時間がかかるので、その点が患者さんにとって負担となってしまいます。
口腔内スキャナーでは印象材が硬化する時間を待つ必要がないため、時間の短縮になり、患者さんからも早くて良いと好評です。
術者側の使用感としては、硬化を待つ必要がないためその場で印象の状態を確認できるところが良いと感じます。
また、咬合が難しい場合(特に遊離端など)の咬合採得が比較的容易と感じます。
型取りの精度については今はまだシリコン印象材の方が高いですが、今の時点でシリコンと同等の精度があるという論文もありますし、きっとスキャナーもこれからますます精度が上がっていくのだろうと思っています。
<前後の比較>
【左】初診時
【右】インレー装着直後
歯科界もどんどんデジタル化が進んでいます。
デジタル化の波に乗り遅れないよう、日々研鑽を積んでいきたいと思います。