前回(「大人のむし歯1」)に引き続き、今回も大人のむし歯についてです。
<根面う蝕は大人に特有のむし歯>
むし歯の好発部位(できやすい場所)は”小窩裂溝”と”隣接面”と”歯頚部”です。
これは子供も大人も共通で、歯の形態上、歯ブラシが当たりづらく、プラークが溜まりやすい部分であるためです。
大人のむし歯の後発部位はこの3か所にさらに”歯根面”が加わります。
この歯根の表面のむし歯が「根面う蝕」です。
歯根はセメント質で覆われているか、表面のセメント質がすり減って象牙質がむき出しになっていますが、セメント質や象牙質は歯冠のエナメル質と比べて柔らかく酸に弱いのです。
健康な状態では歯根は歯ぐきに覆われていますが、歯周病で歯槽骨が溶かされたり、長期にわたって強すぎるブラッシング圧がかかったり、歯ぎしり・食いしばりのように歯に過度な力が加わったりすると歯ぐきが下がり歯根面が露出します。
この歯根面が露出した部分は ①歯ブラシが届きづらくプラークが溜まりやすい、②表面のセメント質や象牙質は酸に弱い、などといった理由からむし歯ができやすいのです。
子供で歯根の露出が見られることはほとんどないため、根面う蝕は大人のむし歯であるとされます。
また、年齢を重ねていくと口腔機能の低下や薬の副作用などによって唾液の量が減り自浄作用(口の中をきれいに保とうとする作用)が弱まるため、根面う蝕が多発するケースもあり注意が必要です。
大人のむし歯3へ続く・・・