前回(「大人のむし歯2」)、前々回(「大人のむし歯1」)に引き続き、今回も大人のむし歯についてです。
<二次う蝕が多い>
むし歯を治療して被せたり詰め物をしたりした部分に再びできるむし歯を二次う蝕といいます。
患者さんから「治療した歯はもうむし歯にならないと思っていた」と言われることがありますが、実は歯科に治療に来ている方の多くは再治療です。
予防歯科先進国であるスウェーデンにあるイエテボリ大学のアクセルソン教授の研究によれば、300人以上の患者さんを30年間メインテナンスし、その間に患者さんにできたむし歯について調べてみると約80%が二次う蝕だったそうです。
今回は大人のむし歯として二次う蝕を紹介してはいますが、子供でもむし歯治療済みの歯が多くある場合には二次う蝕になることが多いです。
被せ物や詰め物と歯の間には見た目には分からなくても段差が出来てしまいます。また、詰め物などの材料の劣化によって歯と詰め物の間に目に見えない隙間ができることもあります。
もともと歯ブラシがうまく当たらずプラークが蓄積してむし歯ができている部分なので、詰め物で段差や隙間ができるとさらにプラークが蓄積しやすくなり、再びむし歯となってしまうのです。
従来はむし歯の早期発見・早期治療が重要だとされていましたが、長期的に見ると、むし歯 → 治療 → 二次う蝕 → 治療 →・・・という負のスパイラルに陥るおそれがあります。
そのため現在では予防やメインテナンスでの管理を重視する方向へシフトしています。
大人のむし歯について3回にかけて書きましたがいかがでしたでしょうか?
最近はメディアなどでは歯周病について取り上げられることが多いため、大人になるとむし歯よりも歯周病に注目しがちですが、むし歯が原因で来院される患者さんは歯周病が気になると言って来院される方よりもはるかに多いです。
むし歯は患者さんが目に見えて「むし歯だ」と分かる状態になったときにはかなり進行していることが多いため、歯周病同様に定期的にメインテナンスをしてしっかり予防していくことをおすすめします。