こんにちは。スマイレアデンタルクリニック 院長の小林一久です。
敬老の日に、サンタカタリーナ連邦大学保存修復学講座教授でブラジルの審美歯科界の重鎮であるLuiz Narciso Baratieri(ルイス ナルシソ バラティエリ)先生の講演を聞きに行きました。
バラティエリ先生はコンポジットレジン修復(むし歯などで部分的に歯質が欠損したところを歯に近い色の樹脂で治す治療法)で世界的に著名な先生で、長年にわたって審美歯科界を牽引してこられましたが、現在70歳でありながら今も第一線でご活躍されています。
講演は同時通訳だったのですが、バラティエリ先生はとても情熱的で声が大きく、通訳の声が聞こえないほどパワフルな講演でした。
僕が研修時代に先輩から「この本、勉強になるから読むと良いよ」と言われて読んだ本の中にバラティエリ先生の “Composite Restorations in Anterior Teeth: Fundamentals and Possibilities” という本がありました。
この本に載っている症例写真はアートのようになっていて、少し見ただけでは、人の口の中の写真を載せた本とは思わないほど芸術的で衝撃を受けたのを今でも覚えています。
講演のスライドに入っている動画もとても芸術的で、まるで映画やプロモーションビデオを見ているようでした。
症例はプロの僕が見てもどこを処置したかわからないくらい素晴らしく綺麗で精密な治療でした。
講演はアーティスティックなものでしたが、バラティエリ先生は「歯科治療で重要なのは芸術性ではなく歯科治療の “知識” と患者さんに対する “愛” だ」と何度もおっしゃっていました。
そして天然歯の絵を繰り返し描き、常に練習する事が非常に重要だとも言っていました。
それは僕が研修時代・大学院生時代に多くの先輩方から言われていた事と同じでした。
重要だと言われて歯科医師になりたての頃に一生懸命やっていたことが、今またここで、地球の裏側のブラジルの先生によって重要であると語られる事に感動を覚えました。
天然歯の形態と構造を熟知することは、最も基本的なことではあるが、最も重要なことだということを改めて教えていただき、初心を思い出す事が出来た講演でした。