こんにちは。スマイレアデンタルクリニック 副院長の小林志保子です。
前回、前々回とむし歯についてお話してきました(→ 『お子さんのむし歯予防のために①』、『どうやってむし歯ができるのか?』)が、今回はさらに食生活とむし歯についてお話したいと思います。
前回、むし歯のリスクファクターに食生活があるとお話しましたが、具体的にはどういうことでしょうか。
下のグラフは規則正しい食生活をする人のプラークのpHの変化と、食生活が不規則な人のプラークのpHの変化を比べたものです。
グラフの青い部分が再石灰化が起こる領域、赤い部分が脱灰が起こる領域、黄色は乳歯において脱灰が起こる危険性が高い領域です。
2つのグラフを見比べてみると違いは一目瞭然です。
下の不規則な食生活のグラフの方は脱灰がおこる頻度と時間がかなり長くなっていることが分かると思います。また、再石灰化が起こる時間が規則正しい食生活のグラフと比べて少ないことも分かります。
乳歯だと黄色い部分も脱灰が起こる危険性が高いので、さらに脱灰の量が増えます。
むし歯は脱灰に再石灰化が追い付かなくなった時にできるので、不規則な食生活ではかなりリスクが高くなるのです。
以上のことから分かるように
- おやつは2回以下におさえる
- だらだら食いをしない
- 甘い飲み物は食事かおやつと一緒にし、他は水かお茶にする
ということはむし歯を予防する上ではとても重要です。
不規則な食生活というとお子さんの場合、時間を決めずにお菓子をちょくちょく食べさせるといったことや、冷蔵庫にジュースやスポーツドリンクが常備されていて欲しがればそれを飲ませるといったことなどが考えられますが、これらは改善すべきポイントです。
こういったことを日常的に行って、3歳になるころには多くの歯が虫歯になってしまったというお子さんを何人も見たことがあります。
食生活は習慣的なものなので、日ごろから気を付けて習慣化すればずっと気を付けられますし、日ごろから不規則な食生活をしていればずっと不規則なままです。
普段きちんとしていればたまに不規則な日があってもそれほど心配ありませんが、ときどき気を付けるようにしてもあまり意味はないということですので、規則正しい食生活を習慣化できるように意識しましょう。
むし歯予防のためだけでなく、全身の健康のためにも大切なことですね。
さて、ここからは余談ですが、「間食はしないしジュースも飲まないし歯もしっかり磨いています」とおっしゃるのにむし歯が多い方(大人も子供も)もいます。
むし歯のできやすさはだ液の質や量にもかなり左右されるので、そういったことが理由となっている場合もあります。
しかし、意外と盲点になっているのは飴やタブレット菓子(フリスクやミンティアなど)です。
こういったものにはむし歯になりにくい代用甘味料が使われていることも多いのですが、歯が磨けていて「おやつは食べません」と言っているのにむし歯が多いという方の中には、のど飴やタブレット菓子をたくさん食べるという方が結構います。
もし心当たりがある場合は、できればやめるか、あるいはキシリトールが多く(少なくとも50%以上、できれば100%)配合されているガムやタブレットに変えてみることをおすすめします。
キシリトールについてはまた別の機会にお話できればと思います。