明けましておめでとうございます。
今年もスタッフ一同、頑張って患者さんのお口の健康維持をサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
今年最初のケースは上下左右の中切歯4本を治療した例です。
審美歯科専門の歯科医院に通院していましたが、そこで仮歯を入れた段階で色々と気になる事があり、私のところへセカンドオピニオンという形でいらっしゃいました。
<患者さん>
40代、女性
<主訴>
前歯の出具合や形、噛み合わせが気になる
<治療内容>
上下左右の中切歯をジルコニアセラミックスにて治療。
治療が開始されていて、仮歯を入れて神経の治療を途中までした状態でした。
仮歯が合っておらず歯ぐきが腫れていたことに加え、仮歯を入れてから噛み合わせに違和感があったとのことで、患者さんは早急に仮歯を治して欲しいとの希望だったため、はじめに仮歯を作り直しました。
その際、仮歯の形から最終的な形をうまくイメージできず不安を感じていたようでしたので、周囲とできるだけ調和するような形態にすることを心掛けました。
通常は最終的な形態を模型上でシミュレーションし、そのシミュレーションをもとに仮歯を作るのですが、今回は患者さんの希望もあり、その場で簡易的に作製しました。
その後、しっかりと神経の治療を行いました。
全体的に白くしたいとのことでしたので、デュアルホワイトニング(ホームホワイトニング + オフィスホワイトニング)をおこない、歯の色調を全体的に明るくし、その後、歯の色調が落ち着いてから型どりをしました。
<治療期間>
約4か月
ホワイトニング後に歯の色調が落ち着くのを待ったため、少し時間がかかっています。
<メリット>
ジルコニアセラミックスは天然の歯に限りなく近い見た目を再現できる。
セラミックスはプラークが付きにくいため、歯ブラシできれいにみがきやすい。
セラミックスは劣化しにくい材料のため、何年たってもほとんど変色しない。
ホワイトニングは歯を削らずに自然な白さにすることができる
<デメリット>
精密な治療をおこなうため、1回の治療時間と全体の治療期間が長くなる。
ジルコニアセラミックスは自費診療のため、費用が高くなる。
セラミックスは強い衝撃を受けると割れることがある。
ホワイトニングの効果には個人差がある
ホワイトニングで歯がしみることがある
<費用>
約850,000円
デュアルホワイトニング(ホーム+オフィス、上下顎)
ファイバーコア × 4
ジルコニアセラミッククラウン × 4(プレミアム)
ホワイトニングで全体的に明るくなった歯と調和して自然な見た目となり、患者さんからも喜んでいただけました。
<今回の治療での要点>
歯ぐきの形状は仮歯の形態に強く影響を受けます。
仮歯の形態が適切でないと歯ぐきに炎症が起きてしまうだけでなく、歯ぐきが仮歯の形態に影響された形になってしまい、最終的に審美的なかぶせ物が出来ません。
そのため、仮歯の歯ぐきと接する部分の形態を最終的なかぶせ物の形に近くなるよう仮歯を作って調整していくことが大切です。
また、前歯は外から見た見た目ももちろん大切ですが、内側の形態も非常に重要です。
内側の形態は噛み合わせに関わるため顎関節との関係も深く、また他の歯にかかる負担をコントロールする役目も担います。
それを仮歯で調整して様子をしっかりることが重要です。
<前後の比較>
【左】上の仮歯を作り直したところ。ホワイトニング前。
【右】下の仮歯も直し、デュアルホワイトニングが終了したところ。
【左】初診時
【右】治療後2週間。治療後の歯間乳頭(歯と歯の間の歯肉)部分にすき間(ブラックトライアングル)が見られる。
治療後2週間経過したところでは上下の正中の歯間乳頭(歯と歯の間の歯肉)部分にすき間(ブラックトライアングル)が見られますが、治療後6か月経過したところでそのブラックトライアングルがかなり小さくなっているのが分かります。
かぶせ物の形態と歯と歯槽骨の位置関係が適切な状態になると、クリーピングといって歯肉の形態が回復する現象が起こります。
クリーピングが起こってブラックトライアングルが小さくなれば、審美的に良いだけでなく、物が詰まったり汚れが溜まったりすることを防ぐことができます。
そのため、できる限りブラックトライアングルをなくすような配慮もしています。
患者さんがホームケアをしやすいような、また、そのモチベーションを高めるような治療をすることを心掛けて頑張っています。